Webサイト運用

WordPressからEmDashへ。ホームページの更新・費用はどう変わる?

この記事の担当:齋藤 航貴ソフトウェアエンジニア

WordPress本体にも、動かす土台の「PHP」にも、重大な脆弱性が公表されています。今のサイトは対応済みなのか、次の更新は誰が対応するのか。こうした不安や毎月の費用を見直す選択肢が、EmDash(エムダッシュ)です。お知らせや写真を管理画面から更新でき、サイト本体にPHPを使いません。

最近の修正情報:WordPress 7.1.4の公式発表、IPAのPHP2Shell注意喚起

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EmDashで見直せる、3つのこと

お知らせは管理画面から。サイトの維持費と管理を、もっと身軽に。

ホスティング費0円から
小規模なサイトなど、無料枠の条件に収まる構成なら、毎月のホスティング費を0円にできます。今のサーバー代を見直すきっかけになります。料金の比較を見る →
これまでの更新経験を活かせる
見出し・文章・写真を入れて、確認して公開。記事更新の基本の流れはWordPressと共通です。実際の管理画面と、日々の操作を紹介します。管理画面と更新の流れを見る →
PHPに依存しない構成へ
サイト本体をPHPなしで動かせます。PHPのバージョン確認や、更新に伴う調整を、そのサイトの管理対象から外せます。PHPの脆弱性と移行の利点を見る →

WordPressの次の選択肢として、国内企業でもEmDashへの移行事例が公開されています。

弊社でも、昨今のセキュリティ問題をきっかけに、WordPressからの移行をご依頼いただく機会が増えています。

今のサイトで切り替えられるか相談する

ホームページのURLと、気になることからご相談いただけます。

EmDashって、そもそも何?

EmDash(エムダッシュ)は、ホームページの文章や写真を、管理画面から更新するための仕組みです。 インターネットの基盤を提供するCloudflare(クラウドフレア)社が公開しています。WordPressと同じく、こうした仕組みをCMS(コンテンツ管理システム)と呼びます。

たとえば「臨時休業のお知らせ」を出すなら、管理画面にログインし、見出しと本文を書き、写真を選んで公開します。EmDashにも、このような更新を行う管理画面が付いています。普段のお知らせを書くたびに、プログラムを編集する必要はありません。

この記事でいう「移行」は、今の文章や写真を引き継ぎ、WordPressが担っている更新・管理の仕組みをEmDashへ入れ替えることです。今のデザインや追加機能を引き継ぐには、制作側で確認・作り直しを行います。

また、ホームページをインターネット上で動かしておく環境も必要です。この記事では、内容の更新・管理にEmDashを使い、サイトを動かす環境にはCloudflareのサービスを使う場合を取り上げます。

出典:EmDash公式サイト、EmDashの記事作成・下書き・公開、CloudflareのEmDash構成ガイド、WordPressテーマの移植手順

WordPressとPHP、両方の更新対応が必要

WordPressもPHPも、脆弱性の報告と修正が継続しています。ホームページを安全に運営するには、WordPress本体やプラグインに加え、動かす土台のPHPも管理します。2026年にも、WordPress本体とPHPのそれぞれで、外部から不正なプログラムを実行される可能性がある問題への対応が必要になりました。

WordPress公式は、9月17日から10月28日の41日間に、4回のセキュリティ更新を公開したと報告しています。PHPも、継続してセキュリティ修正版が公開されています。(WordPress公式のセキュリティ対応報告、PHP公式のリリース履歴)

2026年に公表・修正された主な例
修正日対象どのような問題か
7月17日WordPress本体
7.0.2
2つの脆弱性の組み合わせで、外部から不正なプログラムを実行されるおそれ。「Critical」と「High」の問題を修正。
WordPress 7.0.2の公式発表
9月22日WordPress本体
7.1.2
特定のサーバー・テーマの条件で、不正なプログラムを実行されるおそれ。「Critical」の問題を修正。
WordPress 7.1.2の公式発表
10月21日PHP
PHP2Shell
WordPressを動かす土台の問題。悪用されると、外部の第三者に不正なプログラムを実行されるおそれ。
IPAのPHP2Shell注意喚起・PHP公式の修正版公開案内
10月28日WordPress本体
7.1.4
WordPressの更新処理中に、不正なプログラムを実行される可能性がある問題などを修正。
WordPress 7.1.4の公式発表

広く使われるWordPressは、自動攻撃の標的にも

WordPress公式も、普及度の高さから、ログインを繰り返し試す自動攻撃の対象になりやすいと説明しています。また、Patchstackの調査では、更新されずに残ったプラグインの古い脆弱性を狙う攻撃も確認されています。公開サイトでは、こうした攻撃への備えも続ける必要があります。

出典:WordPress公式の自動攻撃に関する説明、Patchstackの2026年セキュリティ報告

いずれも修正版が公開されており、影響を受ける環境では更新が必要です。「管理会社が対応してくれるのか」「更新したら、今の機能は動くのか」。サイトの担当者にとっては、こうした確認や調整も負担になります。

EmDashは、WordPress本体とPHPを、サイトの管理対象から外す選択肢です。 サイトをEmDashへ移し、PHPを使う旧環境を構成から外せば、WordPressやPHPのバージョン更新に伴う対応も、そのサイトでは不要になります。

仕組みの根拠:WordPressの動作要件、CloudflareのEmDash構成ガイド。PHP2Shellの識別番号はCVE-2026-109618、CVE-2026-109619です。

なぜEmDashは、セキュリティを高めやすいのか

違いが表れるのは、「何を動かすか」「追加機能に何を許すか」「どうログインするか」です。少し専門的な言葉も交えながら、設計の違いを見てみましょう。

1. 攻撃される入口を減らす「アタックサーフェス」

アタックサーフェスとは、攻撃の対象になりうる入口や機能の範囲です。使う仕組みが増えれば、その分、脆弱性や設定を確認する対象も増えます。

EmDashをCloudflare Workersで動かす構成では、WordPress本体もPHPの実行環境も使いません。PHPの脆弱性を狙われても、PHPを実行する経路そのものが新しいサイトにはない、という違いがあります。

図1:サイトを動かす仕組みから、PHPを外す

WordPressの一般的な構成

WordPress

テーマ・プラグイン

PHPの実行環境

PHPファイルを実行する

データベース・画像ファイル

EmDash + Cloudflareの構成

EmDash + Astro

管理画面・サイトの表示

Cloudflare Workers

PHPを使わず動かす

D1:データ / R2:画像
主な構成を抜き出した概念図です。新しい構成には、WordPress用のPHPファイルを実行する経路がありません。旧環境も公開停止すれば、その入口を閉じられます。

新しいサイトへの移行と、旧WordPress環境の公開停止をセットで行うことがポイントです。これにより、WordPressやPHPに固有の入口と更新対応を、そのサイトの運用から外せます。

構成の根拠:CloudflareのEmDash構成ガイド。攻撃対象を減らすという説明は、この構成の違いに基づくものです。

2. 追加機能を隔離する「サンドボックス」と「最小権限」

プラグインは、フォームや表示などの機能を追加するプログラムです。WordPressの一般的なプラグインは、本体と同じPHP実行環境で動きます。そのため、一つのプラグインに問題があると、環境に与えられた権限を通じて、影響がほかのデータや処理へ広がる可能性があります。

EmDashには、プラグインを本体から分けて動かすサンドボックス型があります。隔離した実行環境に入れ、「記事を読む」「指定したサービスへ通信する」といった権限を個別に渡します。必要な権限だけに絞る考え方を最小権限の原則と呼びます。

図2:追加機能に渡す権限を、必要な範囲に絞る

WordPressの一般的なプラグイン

同じPHP実行環境

CMS本体 + プラグイン

実行環境に与えられた
DB・ファイル・通信の権限

プラグインも、本体と同じ環境の権限を使えます。

EmDashのサンドボックス型

隔離されたプラグイン

例:記事を読む機能

宣言・許可された操作のAPI

記事の読み取りだけ許可した例

CMS本体・記事データ

この例では、記事の書き換えや外部送信の権限を渡しません。

権限境界の概念図です。EmDash側はサンドボックス型と対応runnerを使う場合の例で、ネイティブ型は隔離されません。WordPress側の実際のアクセス範囲は、ホストやDBなどの設定にも依存します。

たとえば記事を読むだけの追加機能なら、記事を書き換える権限や外部へ送信する権限は渡さない、という設計ができます。問題が起きたときに、そのプラグインが触れられる範囲を小さくしておくのが狙いです。

この隔離にはサンドボックス型と対応する実行機能(runner)の設定が必要です。ネイティブ型はサイトと同じプロセスで動きます。CloudflareのDynamic Workersで隔離する構成は、Workers Paidの対象です。

出典:EmDashのプラグイン形式と信頼境界、EmDashの権限と通信先の制限、CloudflareのEmDash構成ガイド

3. パスワードの使い回しを防ぐ「パスキー(WebAuthn)」

EmDashは、ログイン方式としてパスキー(WebAuthn)を標準で採用しています。指紋・顔認証や端末のPINなどで、端末に保存された認証用の鍵を使います。認証情報がサイトのドメインに結び付くため、偽サイトへパスワードを入力してしまうフィッシングや、パスワードの使い回しによるリスクを減らせます。

WordPressでも追加機能でパスキーなどを導入できます。EmDashでは、これが標準のログイン方式になっている点が特徴です。利用する端末や、端末をなくしたときの復旧方法も含めて、担当者が使える形に整えます。

出典:EmDashの認証方式、WordPress向けWebAuthnプラグインの例

入口を減らし、権限を絞り、ログインを守る。この3つを構成として組み込めることが、EmDashへ移行するセキュリティ上の利点です。移行後も、EmDashや周辺プログラムの更新、権限管理、バックアップは続けます。

更新担当者の画面はどう変わる?

タイトルと本文を書き、画像を選び、下書きを確認して公開する。記事更新の基本の流れは、EmDashでも共通です。 記事を書くたびにコードを触る必要はありません。WordPressで記事を作ってきた方なら、見出しや画像を組み合わせる編集の考え方を活かせます。

こちらは、弊社が手がけたWordPressからEmDashへの移行事例の一つです。コメント管理を中心に使うクライアントサイトの管理画面を紹介します。左のメニューから一覧を開き、投稿内容を確認する、という見慣れた形で操作できます。

弊社のWordPress→EmDash移行事例:コメント管理の画面

左の「コメント」から一覧へ。承認待ち・承認済みを切り替え、投稿内容を確認できます。

弊社がWordPressからの移行を担当したクライアントサイトのEmDash管理画面。左メニューでコメントを選択し、承認待ちの投稿者・本文・日付と、承認などの操作が一覧に並んでいる。表示内容は撮影用サンプル。
弊社が移行を担当したクライアントサイトの管理画面を複製し、EmDash 1.4.0で撮影しました(2026年11月7日)。個人情報保護のため、投稿者名・メールアドレス・コメント本文・件数は撮影用サンプルです。画像を選ぶと拡大できます(別タブ)。

記事やお知らせを更新するサイトでは、次のような作業が中心になります。上のコメント管理の例とは別に、一般的な記事編集の流れを整理しました。

WordPressとEmDashで共通する記事更新の操作
作業WordPressでの経験を活かせること
本文・画像見出し・段落・画像を組み合わせて編集し、メディア一覧から画像を選べます。
下書き・確認下書きを保存してから内容を確認します。プレビューに対応する構成では、公開前の画面も確認できます。
公開・更新公開操作でサイトへ反映します。EmDashでは公開済みの記事を下書き保存しても、公開操作までは現在の公開版が表示されます。

ボタンの位置やログイン方法には慣れ直しが必要です。WordPressで追加した編集機能や、予約・会員などの専用画面も個別に確認します。移行前には、普段更新する記事を担当者に実際に触ってもらい、画像の差し替えから確認・公開まで無理なく進められるかを確かめます。

出典:EmDashの記事作成・下書き・公開、WordPressの標準ブロックエディター。操作を試したい方はEmDash公式のデモ(別タブ)も利用できます。

サーバー代は、どのくらい変わる?

ホームページをインターネット上で動かす費用を、ホスティング費といいます。EmDashは、Cloudflareの無料枠に収まる構成なら、ホスティング費0円で運用できます。エックスサーバーやさくらのレンタルサーバを借りる場合と、1年間の基本料金を比べてみましょう。

無料枠から始めるサイト運用無料枠に収まれば、ホスティング費は0円1年間の基本料金を比較・税抜換算・通常料金/2026年11月7日確認
エックスサーバースタンダード・12か月契約
12,000円/年1,000円/月
税込13,200円/年から税抜換算
さくらのレンタルサーバスタンダード・12か月契約
6,000円/年500円/月
税込6,600円/年から税抜換算
EmDash(無料枠内)Cloudflareの無料枠を利用
0円/年0円/月
サイトの機能と利用量が、無料枠の条件に収まる場合

必要な機能や利用量に応じて、有料構成を選ぶ場合があります。

移行作業・保守・メール・ドメイン・追加利用料は含みません。 Cloudflareは1ドル=150円の仮定で計算し、税・換算手数料は別です。

有料プランの目安・無料枠の条件を見る

Cloudflareは比較用の仮定として1ドル=150円を使用しています。実勢為替ではなく、税・カードの換算手数料は含みません。レンタルサーバの税込料金は1.1で割って揃えています。契約期間分の一括料金で、キャンペーンは含みません。

有料構成を使う場合、Cloudflare Workers Paidは月$5から。1ドル=150円なら年約9,000円(約750円/月)の基本料です。WorkersのCPU・リクエスト、D1、R2などの追加利用料は別途かかる場合があります。

Freeはサンドボックス型プラグイン等の有料機能を使わず、CPU時間・日次リクエスト・DB・メディア等の上限を満たす構成が対象です。上限に達すると処理が失敗する場合があるため、公開・管理・更新処理を含めて検証します。

出典:エックスサーバー料金、さくらのスタンダード料金、Workers料金、D1料金、R2料金

無料枠を活かして、毎月のサーバー代を見直せます。サイトの機能とアクセス量を確認し、無料枠に合った構成をご提案します。

レンタルサーバの料金に含まれるメールやバックアップ、サイトのアドレス(ドメイン)の特典も確認が必要です。これらを別に契約する費用と、サイトを調べる・移す・手入れを続ける作業費は、別々に見積もります。メールや他サイトのために旧サーバを残すなら、その契約費は減りません。

複数サイトを一契約で運用できるのは、レンタルサーバも同じです。Cloudflare側だけをサイト数で割らず、同じ条件で比較します。サーバー代に加え、更新や復旧まで含めて考えることが大切です。

調査・移行・保守を分けてご提案します

まず現在のサイトと契約を確認し、移せる機能、残すサービス、移行後の運用を整理します。お見積もりは構成と対応範囲に合わせてご案内します。

WordPress移行について相談する →

弊社が手がけた、クライアントサイトの移行事例

弊社では、コメントを中心に運用するクライアントのWordPressサイトから、過去のコメント・独自の入力項目・「いいね」の累計をEmDashへ移しました。元のサイトの見た目を活かし、PC・スマートフォンの画面に引き継いでいます。

引き継いだ内容を見る
  • コメントの本文・日時・サイト独自の入力項目
  • 過去の「いいね」の累計と表示
  • ページ送り・既存のページ内リンク
  • 元のサイトの見た目を活かしたPC・スマートフォン表示

手を入れる必要があったのは、サイト専用の入力欄と、過去の「いいね」の合計です。通常の取り込みだけでは引き継げず、保存する仕組みを追加しました。小規模なサイトでも、普段使っている機能や記録を一つずつ確認する作業が必要になります。

文章や画像だけでなく、サイトを使う方にとって大切な記録も引き継ぐ。日々使っている機能と蓄積したデータに合わせて、移行先を組み立てます。

まずは、今のサイトに合うかを確かめる

記事・お知らせ・会社案内が中心のサイトは、移行を検討しやすい対象です。会員登録・決済・予約や、特別な編集画面がある場合は、必要な機能と担当者の作業を先に確認します。

移したあとも、更新・点検・バックアップを続けます。 こうしたサイトの手入れが「保守」です。誰がお知らせを更新し、誰が不具合や復旧に対応するかまで決めて進めます。

更新頻度や使っている機能によっては、今のWordPressを改善したり、管理画面を持たないサイトにしたりする方が合う場合もあります。現在の困りごとから確認し、必要な構成を選びます。

仕組みや安全性を詳しく知りたい方へ

サーバーの構成・追加機能の権限・認証・復元の仕組みを見る

以下は公式仕様に基づく説明です。当社による侵入試験や安全性の定量評価は行っていません。

移行で変わる構成

EmDashは、Astroを基盤とするオープンソースのCMSです。記事を編集する管理画面も付いています。この記事では、サイトをCloudflare Workers、記事などのデータをD1、画像をR2で扱う構成を取り上げます。他の環境でも利用できますが、以下の説明はこの構成が前提です。

WordPressのテーマやプラグインは、そのまま動きません。 PHPで書かれた表示やデータ取得をAstroへ、投稿・フォームなどの処理を新しいAPIへ移します。記事や画像の取り込みとは別に、今ある機能を一つずつ引き継ぐ作業が必要です。

出典:CloudflareのEmDash構成ガイド、WordPressテーマの移植手順

プラグインの権限を限定する

WordPressの一般的なプラグインは、CMS本体と同じPHPプロセスで動きます。その環境に与えられたDB・ファイル・ネットワークの権限を使えるため、追加するコードや更新内容を信頼して使う必要があります。

EmDashには、プラグインをCMS本体と分けた環境で動かす「サンドボックス型」があります。「記事を読む」「指定したAPIに通信する」といった操作を宣言し、許可した範囲で実行させる仕組みです。その機能に必要な権限だけを渡せる点が、運用上の利点になります。

この隔離は、すべてのEmDashプラグインに自動で付く効果ではありません。 ネイティブ型はサイトと同じプロセスで動きます。サンドボックス型には対応するrunnerの設定が必要で、CloudflareのDynamic Workersを使う場合はWorkers Paidが必要です。

広い権限を許可すれば、その分だけデータの読み取りや送信も可能になります。導入時には、機能と一緒に権限・通信先を確認します。

出典:EmDashのプラグイン形式と信頼境界、EmDashの権限と通信先の制限、CloudflareのEmDash構成ガイド

パスキーで管理画面を守る

EmDashの標準ログインはパスキー(WebAuthn)です。認証情報がサイトのドメインに結び付くため、パスワードの使い回しや偽ログイン画面への入力によるリスクを減らせます。

社内の認証基盤を使いたい場合は、Cloudflare Accessも選択肢になります。本番ではEmDashの組み込み認証に代わる方式なので、標準のパスキーと必ず併用する仕組みではありません。

合わせて決めたいのが、担当者ごとの権限と復旧方法です。編集だけをする人に管理者権限が必要か、退職時にどう失効させるか、端末をなくしたらどう戻るか。ログイン方式の変更と一緒に整理します。

出典:EmDashの認証方式

PHPサーバーの運用範囲を減らす

Workers・D1・R2へ完全に移せば、サイトのためにPHPやMySQLのサーバーを維持する必要がなくなります。 古いPHPの実行環境や、公開フォルダに置かれたPHPファイルが実行される経路も、新しい構成から外せます。

Workersの基盤と実行環境はCloudflareが管理します。自分たちでOSやPHPを更新しているサイトなら、その管理範囲を減らせます。レンタルサーバなどですでに任せている作業については、実際に何が減るかを比べる必要があります。

EmDash・Astro・npm依存関係・独自コードの更新は引き続き必要です。XSS、SQLインジェクション、権限チェックやアップロード処理の不備も、言語を変えるだけでは防げません。旧WordPressを公開しておく間は、そちらの保守も続きます。

出典:CloudflareのEmDash構成ガイド、Cloudflare Workersのセキュリティモデル

コード・データ・権限を整理する

サイト本体はGitで管理し、レビュー・ビルド・検証を経て公開できます。変更箇所を追いやすく、問題があれば以前のコードへ戻せます。ただし、管理画面で更新した記事までGitに記録されるわけではありません。コードの切り戻しと、DBの復元は別々に準備します。

複数サイトを扱うなら、Worker・D1・R2に加え、デプロイ用の認証情報と管理者権限もサイトごとに分けます。プラグインが隔離されていても、共通の認証情報が広い権限を持っていれば、複数サイトに被害が及ぶ可能性があります。

秘密鍵やAPIキーはソースに埋め込まず、漏えいしたら失効・交換できる状態にします。移行時には「誰が、何を操作できるか」まで確認しておきたいところです。

出典:EmDashのシークレット・鍵の管理、Cloudflareのリソース別の権限

表示と配信の設計

既存デザインを活かしたフロントエンドの整理
CSS・画像・表示構造を活用しながら、Astroの部品として組み直せます。表示とデータ取得の関係を明示し、変更箇所を把握しやすくします。
インフラ費用を利用量に合わせる選択肢
小規模なサイトでは、無料枠や少額の従量料金に収まる可能性があります。ただし、CPU・DB・画像・追加機能の利用量で変わり、サンドボックスの有料条件もあります。旧ホストを残す期間と人による保守を含めて比較します。
管理画面を使いながら、配信方法を選べる
EmDashの管理画面で記事を編集し、Astro側でキャッシュなどの配信設計を行えます。管理機能があることと、公開画面をすべて毎回動的に生成することは別です。性能の改善幅は実際の構成で測定します。

これらにはAstroやCloudflareの構成による利点も含まれます。HTTPSやエッジ配信、アクセス制御はWordPressにも導入できるため、EmDashだけの専用機能とは区別します。

キャッシュを使う場合も、公開ページと、管理画面・下書き・認証付き応答の扱いを分けます。速く配信する設定によって、非公開データまで共有キャッシュへ載せないことを確認します。

出典:WordPressテーマの移植手順、EmDashのページキャッシュ、CloudflareのEmDash構成ガイド、Workersの料金

移行後の保守と復元

記事・お知らせ・企業情報が中心で、使っている機能を把握できるサイトは、移行を検討しやすい対象です。会員・決済・予約や独自の編集画面がある場合は、代わりの機能と業務の進め方を先に確認します。ページ数やPHPの行数だけでは、移行の難しさは判断できません。

移行後も、更新・権限管理・バックアップは必要です。 フォームの入力検証、スパム・連投対策、監視も続けます。復元用にはDB・画像・暗号化キーを揃え、別の環境に戻せるかを確認します。EmDashのJSONエクスポートだけで、完全に復旧できるとは考えないほうがよいでしょう。

WordPressでも、更新や認証・権限・バックアップを整えれば安全性を高められます。今の運用で困っている点を明らかにし、EmDashで改善できることと、編集担当者の使い勝手を確かめてから選びます。

出典:WordPressテーマの移植手順、EmDashのバックアップと復元、WordPress公式のセキュリティ強化ガイド

2026年11月7日時点の公式資料とEmDash 1.4.0での移行作業に基づきます。効果や費用は、移す機能と利用量によって変わります。

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